齋藤先生の読書術:『大人のための読書の全技術』
『大人のための読書の全技術』中経出版
著者:齋藤孝
読書の達人が教える読書のすべての技術
30冊ほどの本を同時並行に読み、多い日には10冊以上の本を読破するという齋藤先生が、自らが実践している読書に関わるあらゆる技術を惜しみなく伝授してくれます。
本書の概要
序章 社会人にこそ、読書が必要な理由
読書の効用が列挙されます。
・読書によって、先人たちから自分自身をデザインし、ブランド化していく方法を学ぶとともに、そのモチベーションを得る。
・テレビやインターネットと比してより能動的で集中力を必要とする読書は思考力を鍛え会話における言葉の意味の含有率を高められる。
・読書によって先人たちの体験を追体験することで知性の経験値を上げ、ストレスに負けない精神力が身につく。
・読書によって知識や意識のキャパシティを大きくし、脳味噌をタフにして常に意識を総動員できるようになる。
・読書を習慣化することで、常に進化し続ける自分になれる。
・自己刷新の力を身につけ、それを仕事に生かすことができる。
・自分の頭で全てを考えようとするのではなく、読書によって先人たちの思考をなぞることができる。
第1章 読書のライフスタイルを確立する
読書のライフスタイルを確立する方法が列挙されます。
・「電車の中では必ず文庫本を読む」「1日のうち1時間は必ずカフェに本を読む」「誰かと待ち合わせをするなら必ず本屋にする」など、自分のルールを作る。
・本を捨てたり売ったりしてしまわず、部屋に本棚を設置し本と共に暮らす。
・本について語り合える友人を持つ。ネット上でのレビューなどのやりとりでも良い。
・尊敬する人の本や自分の背中を後押ししてくれる本、古典を手元に置く。
・情報・知識を取り出すことを目的とする「役に立つ読書」と、世界に没入することを目的とする「快楽としての読書」を区別し、速読と精読を使い分ける。
第2章 読書の量を増やす−速読の全技術
現代では速読と精読の両方の重要性が増していて、それを上手に使い分けることが重要になっていると主張した上で、速読の技術を列挙します。
・読書量を増やす
読書量を増やす知識を積み重ねていくことが、楽で、速く、正確な読書に直結します。同じ分野の本を6〜7冊読めば、理解しなければならないことは2割ほどしか残らない。
・本を読む目的を設定する
「今読んでいる本の内容を、誰かに説明するのだ」と決めることで、本の内容を理解し整理しながら読むことができる。実際に誰かに説明すればより効果的。
・一冊の本を読み終える締め切りを設定する
「この新書を3時間で読む」のように締め切りを設定し、慣れてくれば締め切りまでの時間を短くしていく。
・本をさばく
本を買ったら喫茶店に入って、一冊につき20分くらいかけて本の内容を人に話せるくらいに大まかに把握する。その本を読むモチベーションが最も高い時に中身を把握することに意味がある。
・逆算読書法
話の肝の部分が描かれることが多い3、4章や結論が書かれる終章を最初に読むことで全体の内容を効率よく正確に把握できることは多い。
・二割読書法
全体のうちの二割を正確に読み、内容を記憶する。どの部分を読むかを選ぶ能力は経験を重ねることで磨く。
・サーチライト方式
カバーの袖や要約などからキーワードを5、6個予想し、キーワードを拾いながら読む。
・同時並行読書
TPOに応じて多くの本を読み分け、10冊ほどを同時に読む。
第3章 読書の質を上げる−精読の全技術
・音読
音読によって本の内容を正確に理解すると共に身につけた知識や知恵を一生ものにできる。
・翻訳
まず翻訳本で内容を把握し、気に入った箇所だけでも原文にあたって音読し翻訳してみる。
・三色ボールペン方式
客観的に最重要な部分に赤、客観的に重要な部分に青、主観として大切な部分に緑で丸をつけたり線を引いたりする。
・引用ベストスリー方式
好きな文章を三つ選んで引用して置き、会話の中で積極的にアウトプットするようにする。
第4章 読書の幅を広げる−本選びの全技術
・芋蔓式読書で、気に入った著者の本を続けて読んでいく。
・柱になって精神力を支えてくれる古典を何度も読む。
・古本も揃う図書館で買うべき本を見つける。
・ネット書店で手に入りにくい本を手に入れる。
…
第5章 読書を武器にする−アウトプットの全技術
・本に触れながら会話する習慣を身につけ、コミュニケーション能力を高める。
・読書でコメント力と質問力、雑談力を身につける。
・読書で知った新たな概念を活用する。
…
終章 社会人が読んでおくべき五〇冊リスト
まとめ
仕事の時と寝ている時以外はほとんど本を読んでいる齋藤先生の真似をするのは普通の人間にはなかなか難しいと思いますが、読書をする上で参考になる話がいくつも載っていました。また、先生が他の著書で主題テーマとして取り上げている話題も多く登場していたので、ぜひ読んでみたいと思いました。